頭痛や肩こりがひどい場合、歯科医院に行った方がいいかもしれません。頭や肩に歯は影響しないように思われますが、実際には原因の一つになることがあります。それは噛み合わせの悪さが関係しています。噛み合わせとは、上あごにある歯に下あごにある歯を当てた時に合わさることをいいます。
通常は無意識下で行われ、自分で位置を気にしながら噛み合わせるようなことは行いません。食事をする際に行う咀嚼や力を入れた時に歯をくいしばる時などに行われます。一日に複数回行われるこの動作が体に大きな影響を与えています。歯の表面、先端部の形状は複雑です。
歯の大きさや高さもそれぞれで噛み合わさる部分に異なります。噛み締めた時に歯にかかる力は奥歯でだいたい40kgから60kg、体重と同じぐらいかかるのが一般的とされています。噛み合わせが悪くなると一番出っ張っている場所に力が集中することになり、その力を小さな歯一つだけにかけることになるのでます。それは歯にとっても、それを支えるあごとってもかなり負担の大きい状態になります。
それを複数回繰り返すことで体全体への負担につながっていきます。だからこそ力を分散するために適切な噛み合わせが必要になります。噛み合わせが悪くなることで歯自体にも悪影響を及ぼします。極端に負荷のかかる歯は他の歯と比べて消耗が激しくなります。
正しい噛み合わせでは起きることがない歯のすり減りなども発生します。虫歯にならないように歯を保護しているエナメル質を削ってしまうことで、歯を弱くするリスクも考えられます。内部がむき出しになった歯は虫歯菌の影響を受けやすく進行が早くなります。しっかりとブラッシングしていても保護する部分がないため防ぎきれない恐れもあります。
歯の内部にある素材の大部分は象牙質と呼ばれる硬い部分です。そこが細菌によって削られる状態を虫歯と言います。その部分を覆っているのがエナメル質です。象牙質よりも硬質であることから細菌から守る役目をしています。
エナメル質は象牙質と比べると薄くなっています。噛み合わせが悪いことで削れるとすぐに下にある象牙質がむき出しになります。象牙質は細菌が付くことですぐに溶かされてしまいます。エナメル質がなくなっている恐れがある場合には早めに歯科医院の受診が必要です。
早めに対応することで象牙質の保護やプラークの除去などを行なって、それ以上進行しないように対策をすることができます。歯の噛み合わせが悪くなると、頭痛が肩こりが発生する理由は、バランスにあります。噛み合わせが悪とあごにかかる力が左右対称ではなくなります。どちらかあたりが強い側に力が集中します。
その力の不均等は顔の筋肉に影響を与えます。あごは顔の中で最も大きい筋肉で支えています。片側にだけ強い力がかかるとそちらの筋肉だけが硬くなります。顔は皮膚の下に筋肉が張り巡らされていて表情を作り出します。
あごの筋肉がバランスを崩すことで顔全体のバランスが崩れます。結果として頭を覆う筋肉も同じよにこわばります。それが頭痛となって現れます。あごのバランスが崩れると、それを補うために体全体のバランスを調整します。
目が左右水平に並ぶように左右前後のバランスが影響を受けることになります。結果として、肩や腰もどちらかに負荷がかかるようになって痛みを伴うようになります、それが肩こり、腰痛の原因です。このように噛み合わせが悪いことで体全体に影響を及ぼすことになるので早めに歯科医院で噛み合わせの調整を行なった方がいいでしょう。噛み合わせを正しくすることで全体のバランスが整うようになり、頭痛や肩こりなどが改善されることが考えられます。
噛み合わせはどうして悪くなるのでしょうか。例えば虫歯があるため、そちらの歯を使わないようにするために片側だけで食事をするような場合です。意識的に片側だけに力をかけているのでバランスが崩れるのは当然です。虫歯を放置せずに歯科医院で早めに治療してもらわないと、他の部分まで悪くなる恐れがあります。
そのほかにも、ほおづえをつく癖のある人は注意が必要です。どちらか一方のあごの下に手をつくことであごのバランスが崩れます。そのため片側だけが力がかかり結果として噛み合わせが悪くなるということです。まずはほおづえをつくのをやめて、噛み合わせを治すために歯科医院への受診が必要です。
ほおづえをやめても一度崩れた噛み合わせは修正されません。自分自身で治すことはできないので、歯科医院での調整が必要です。また歯ぎしりや力を必要とするスポーツを行う人も噛み合わせが悪くなる恐れがあります。歯ぎしりやスポーツでは歯を食いしばるため咀嚼以上の力が歯にかかります。
継続的に行うことで部分的に力がかかり噛み合わせが悪くなる恐れがあります。無意識に行われているため気がつかないかもしれませんが、この時歯にはものすごい力がかかっています。マウスピースをつけるなどの対応をすることで予防することができます。歯科医院で噛み合わせの治療を行うことで歯全体に力を分散することができます。
歯の形状は成長や生活習慣によって変化します。一度調整してもしばらくするとずれてきます。そのため定期的な調整が必要です。一度調整した噛み合わせを長く維持するためには、生活の中でいくつか注意が必要です。
まずは食事の時の噛み合わせです。左右両方の歯を均等に使うことで、バランスが良くなります。また、あごの周りの筋肉を動かして片側だけに力が集中しないように注意することも重要です。あごの筋肉がアンバランスになってしまうと、噛み合わせにも影響を与えます。
口を大きく開けたり、横に広げてみたり、すぼめてみたりすることで顔の表情筋を動かすことができます。その運動によって顔の筋肉がほぐれてバランスがリセットされます。特に歯ぎしりがひどい人はマウスピースの着用が必要になります。就寝中に歯を保護するためマウスピースにつけることで歯への負担を軽減します。
スポーツなどに使われるやらかいものではなくプラスチック製の硬いものを使います。そのため歯科医院で診察を受けて作製してもらう必要があります。マウスピースは歯の代わりに削れて形状が変化するため、定期的な調整が必要です。歯科医院では、噛み合わせの調整を行うことができます。
単純に考えると左右のバランスだけを気にしてしまいますが、神噛み合わせには前後のズレも関係してきます。そのため総合的にズレを捉えて確認していきます。正しい噛み合わせを考えた時に基本となるのが犬歯を基準にして調整する方法です。そうすることで前後左右の位置を合わせることができます。
そして次にどこが一番当たっているか、つまり一番力がかかっているところを確認します。歯の表面の凹凸によっても変わってくるので噛み合わせた時に力がかかる部分を咬合紙によって色をつけます。そしてその部分を調子していくことでバランスをとっていきます。場合によっては、過去の治療跡が原因になっていることもあります。
ブリッジや詰め物などを付け替えることで改善することもあります。噛み合わせは口腔内だけでなく全身に影響を与える恐れがあります。日々の生活でかなりの回数行われる動作なのでちょっとしたズレが最終的には大きなズレとなって体に悪い影響を与えます。噛み合わせが原因のを肩こりや頭痛などはマッサージや投薬では一時的な改善にしかならないため、根本的な治療ならば歯科医院への受診が必要です。